Act of Living

人間愛とひと匙の狂気

日本で働いてみた

昨年12月にガーナから帰国、5月から縁もゆかりもなかった三重県で働き始めて、2ヶ月ちょいが経った。 アフリカから帰ってきてみたら、都会のごみごみとした環境にいるのが嫌だー!、満員電車に無表情で乗る人々の光景が怖いー!、と真っ先に思ってしまったから都会での就職はやめた。

さらに日本国内なんてどこでもだいたい同じ言葉だし(ガーナは現地語が40種類以上あり、隣村に行くと全く違う部族・文化だったりする)、交通網が発達しすぎていて、 どこでも近いやん!と思ったら場所へのこだわりが綺麗さっぱりなくなってしまった。 「なんで三重?」とよく聞かれるけど、別に大した理由はない。たまたまJICA主催の企業との交流会で今の会社の社長と出会い、お話して、魅力を感じ納得したから、 その流れで三重に来ただけだ。来てみたら三重いいところだけど。

 

就職したのは、中古車の販売、買い取り、解体、中古車エンジン・パーツの販売などをしている、小さな小さな会社。 車に興味があったわけじゃない。むしろ普通の人が知っている一般的な知識すらない。 ペーパードライバーだったし。

それよりも、人がいらなくなってしまった、その人にとっては価値がなくなってしまったものを、綺麗にして、または付加価値をつけたりして、他に必要としている人に届ける ということに興味があった。それはガーナでプラスチックリサイクル・アップサイクルの活動をしていた時から一貫して持っている興味関心だ。

ガーナで見ていたぼろぼろの車が、どのようにやってきているのか、というのも是非とも見てみたかった。

いざ働き始めたら、これがまたとても面白い。 もし新車を売っていたとしたら、全然楽しめなかったと思うが(笑)、乗れなくなってしまった(ガーナに持っていったら全然乗れるレベルではあるが…何度もったいないと思ったことか)車のパーツを丁寧に解体して、磨いて、売るというのは何とも面白い。 驚くような需要が、想像もしていなかったところにあったりする、というのも、可能性を感じる。

今までは専用のシステムを使って修理工場や部品商に売っていたが、私が担当させてもらっているのは、ECサイトを使って一般ユーザーに販売するということ。 会社としては今まで手が回らずあまりできていなかったことなので、少し頑張ったらみるみると数字が伸びてきてとても楽しい。 意外と車を擦ってしまったお客さんが、ドアやフェンダーパネル、サイドミラーなどを購入してくれるというのも、面白い発見であった。 ということで、なかなか楽しく毎日を過ごしている。

 

仕事をしながら、未だに日本人になりきれず毎日感動していることがいくつかある。 この感動が薄れる前に、書いておきたい。

  • とにかくネットに情報がありすぎる。 ガーナでは、知りたいことがあったらネットに書いてあるなんてことはほとんどなく、とにかく現場に行ってみる、人と会って話してみるしかなかった。 電話番号をゲットするのも大変だったし、かろうじてメールアドレスが書いてあったなんて時も、まず返信は来ない。 結果的にアポなし突撃、案の定、責任者がいないor帰った→明日にお預け 組織の長にアポを取る文化がない。秘書はいるのに予定管理をしない。用事がある人はその人の部屋の前で長い行列を作って待つというなんとも非効率的な状況。 1つの情報を得るために、かける膨大な時間よ… それに比べて日本はネットに情報が溢れすぎている。口コミ等の情報も得られる。(もちろん日本でも現場に足を運ぶことは大切ではあるが) 部屋を一歩も出ないで得られる情報の多さに改めて驚く…

 

  • 停電がない、設備が整っている。   クーラーなどない職場で汗をかきながら、自分のラップトップを叩いていたあの頃… まだシーリングファンが動いていればいいのだが、一度電気が止まると地獄。 蒸し風呂状態で仕事どころではない。 職場の印刷機はほぼ全て壊れている。ウイルスに感染しているから、USBをさすのが嫌ということもあり、比較的しっかり対策をしている街の印刷屋さんへバイクを飛ばす。 着いた瞬間また停電…結局今日は資料を印刷できず。なんてことはザラ。 今はクーラーの効いた部屋で、ワンクリックで印刷完了。ここは天国かな。

 

  • 頼んだ仕事が3分で返ってくる     ガーナで同僚に仕事を頼んだら、2週間は見ておいた方がいい。 忙しすぎて身体の調子が悪いだの、マラリアかもしれないだのと言いながら、職場のパソコンでゲームをしている同僚に殺意が芽生える。 対して日本では年上の人に仕事を頼んだら、即効動いてくれて3分でレスポンスが。 素晴らしすぎて、お礼を言いすぎて、怪訝な顔をされる。

 

となんか最後は完全にガーナの悪口みたいになってしまっているが、本意ではない。 泥臭さ、不便さはもはや楽しかった。自分にない思考回路に毎日いい意味で刺激を貰っていたし。 ということで、なんだかんだガーナが懐かしい今日この頃。

日本のスピード感の中で成長させてもらって、より強くなってガーナに帰れるように!

 


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